Pencil ✒︎ Pencil

買ったもの、考えたこと、勉強のこととか。

今の宇多田ヒカルはMr.Childrenの「DISCOVERY」っぽい

「20代はイケイケ」に続く、ネット配信トークイベント「30代はほどほど」

 

いざ見てみると、3分の2はカックカクでやっと繋がったかと思ったらピアノをひたすら無音の中で見せられるという、まぁ企画としては失敗気味だったんですけども。

 

後半の「忘却  feat KOHH」〜「人魚」はとても聞いていて気持ちよかったです。

 

 

五年間の活動休止を経てリリースした楽曲群は生楽器がずっと前に出ていて、身のあるサウンドでした。

 

宇多田ヒカルの楽曲って、 なんだか現実の出来事を想像でしか触れることができない領域に転化したような、親しみやすい歌詞でもどことなく浮ついていて、煌びやかで、少しダウナーであったり、ともかく電子音メインだからなのかもしれないけども、現実に対する拒否のようなエッセンスを含んだものが多かった気がします。

 

これは度々本人が語っていることですが「世間から隔絶されている気がしていた」からなんでしょう。

 

5年ほど、一人の人間であることを主題に表舞台からは離れて生活した中でやりたいことをやることができたからこうやってアルバムをリリースした。

 

それはファンとしてとても嬉しい。

 

反面、かなり暗くなった印象も受けます。落ち着いたとも言えますが。

くすんだキャンバスに蛍光色をぶちまけまくったようなサウンドから、くすんでてもいいからそれを引き立てる色を選んだような。そんな楽曲が増えた気がします。

 

と言っても、割と活動休止前からそう言った傾向はあったんですけども。

今回は現実を向き合う究極とも言える、「死」について宇多田さんの頭の中でかなり具体的になったからなのかもしれません。

 

ただ、本当に語りうるテーマが「死生」だけだったのがこのアルバムでのネックでもあると思います。

 

「人生最高の日」が浮きすぎてます。

なんとか全体のバランスをニュートラルに戻そうとして無理やり作った曲に感じます。

「忘却」が重すぎるが故に。

 

ともかく個人的に印象的なのが、「忘却」

 

僕、このアルバムで「道」の次に好きな曲なんですが、 すっげぇ、アンビエントな雰囲気を持った楽曲ですよね。

 

序盤なんかブライアンイーノっぽいし、 RADIOHEADの「Treefingers」っぽくもある。

 

 

なんか宇多田ヒカル悟ったんでしょうね。

お金があろうが名声があろうが、 人間として生きて死ぬだけだって。

そう思い至ってやっと地に足つけたんじゃないでしょうか?

あまり詳しくないですが、KOHHさんというチョイスも、そういう繋がりのような気がします。

 

骨身にそう感じたからこういう曲になったんでしょうし、 それがないと「テイク5」みたいな、極彩色で必死に逃げようとする曲になるんだと思います。 それはそれで好きなんですけども。

 

 

未だ嘗てないほど薄くて深いです。

というより深いんじゃないくて、 今までが高すぎた。感情的すぎた。

  

暗く均質な宇宙のなかで必死に光っている星とその周りにひっそりと生きる寂しい人間

 

本当に言いたいことがこの曲なんじゃないでしょうか? 

 

そこでひとつ心配なのが。

 

ここから宇多田ヒカルはどう変わっていくのか。

 

試験管の中で生まれた実験生物みたいな怪物みたいに見られてきてブレブレだったのが、やっとこさ一人の人間になれて、じゃあこれからどうなるのか。

 

似たような状況になった有名アーティストにMr.Childrenがいます。

 

売れに売れて、思ってたのと違うことに気がついて、荒れに荒れた「深海」「BOLERO」の頃のミスチル

そして活動を休止して、暗くても少し前向きになれてやっとこさ「DISCOVERY」「終わりなき旅」に至ることができたミスチル

個人的にこの3部作の頃のミスチルが一番好きなんですが、この次に出る「Q」は遊んだような曲が多くて楽しかったりします。 一般受けはしなかったそうですが。

 

今の宇多田ヒカルは「深海」なのか「DISCOVERY」なのか?

個人的には回復期の「DISCOVERY」っぽいです。 

ということは次はぶっ飛んだアルバムを出して来るのかもしれない。

 

 

DISCOVERY

DISCOVERY

 

 

 

Fantôme

Fantôme